【素材解説】ORGA WIDEBOREシリンダートレポン用 SUS304 TPSC

【素材解説】ORGA WIDEBOREシリンダートレポン用 SUS304 TPSC
【素材解説】ORGA WIDEBOREシリンダートレポン用 SUS304 TPSC
 

シームレス管 は、ORGA WIDEBOREシリンダー トレポン用の管に使われている素材だ。2018年6月の公開時点の内容で、素材と製法を整理する。

この記事の要点

  • 外径は従来どおりΦ25.4mmのまま、肉厚を薄くして内径を広げた
  • 管は、原発向けのシームレス管を作る国内の業者が生産している
  • 素材は、SUS304 TPSCシームレスコールド冷間引抜きだ
  • 焼入れを省いたため、わずかに磁石に着く
  • 強度を保つことで、メスネジの強度も確保している

ORGA WIDEBOREシリンダートレポン用
構成素材の解説

シームレス管と肉厚の課題

オルガ トレポンシリンダー最大の特徴は、従来のトレポンシリンダーよりも内径が広くなったことによるシリンダー内部の容積UPとなります。今回発表する ORGA WIDEBOREシリンダートレポン用を開発するに辺り、一番苦戦した部分がシリンダー管の肉厚です。

つまり、内径を広げるには、肉厚を薄くするしかない。そのため、管の強度が、最大の課題になった。

シリンダー管の外径は従来通りのΦ25.4mmのままで、如何にシリンダーの肉厚を薄く出来るか?がポイントでした。もうお気づきの通り、肉厚を薄くするということは、管自体の強度が低下し、衝撃や日々の運用で管自体に歪みが発生してしまいトレポン利用時に適正な気密が取れなくなってしまいます。

ただし、肉厚が薄いと、歪みが出て、気密が取れなくなる。そのため、素材と工程の見直しが、必要だった。

それを回避する為に、選定する素材と工程を見直し、従来のトレポンシリンダー管よりも肉厚が薄く 強度がある管を生産する事に成功しました。

並べたステンレス製のシリンダー管の開口部

上の写真は、並べたステンレス製のシリンダー管だ。そのため、管の内側の滑らかさと、薄い肉厚を確認できる。

引抜きの製法と業者探し

通常、この様なシリンダー管は「引抜き」という製法を利用しますが、真鍮や鉄などの製造を主にしている加工業者だと、オルガで指定する「ステンレス」「肉厚」「管内壁の滑らかさ」「強度」に対応できる業者は残念ながらいませんでした。
そこで、同じ引抜管製造でも「より高度で特異な業者がいるはず」ということで、0から業者探しを始め、行き着いたのが、日本に2社しかいない(できない)国内・外の原発で利用されるシームレス管(繋ぎ目の無い内引抜管)を製造している業者でした。

なお、この業者は、日本に2社しかない。そのため、通常の町工場とは、条件が異なる。

正直、通常の町工場などでの引き抜き管と違い、掛かるコストも高いものでしたが「実現」させる為、生産に踏み切り 完成したシリンダー管となります。

つまり、コストよりも、実現を優先した判断だ。そのため、完成したシームレス管には、専用に作った背景がある。

SUS304の素材と焼入れを省いた理由

素材は、SUS304 TPSCシームレスコールド冷間引抜き という呼び名で、SUS304は工程の最終で焼入れをするのですが、管自体の強度と設計公差に変化が生じてしまう為、この工程を省いてあります。その事で通常「ステンレスは磁石につかない」素材ですが、オルガのSUS304管は僅かですが磁石に着きます。
この工程を取った最大の理由が「シリンダー管の強度」を確保する為で、肉厚が薄いこと 及び シリンダーヘッド用のネジ(シリンダー側に切るメスネジ)の強度を保つ為です。

つまり、焼入れを省いたのは、強度と設計公差を守るためだ。そのため、磁石に着く性質は、この工程の結果だ。

シームレス管が容積UPを支える理由

上記の素材と工法があったからこそ「容積UPさせたトレポン用シリンダーの開発」を実現させることが出来ました。

また、メスネジの強度が保てることは、シリンダーヘッドの固定にも関わる。そのため、ネジ部分の強度にも、効果がある。

横長の穴が空いたステンレス製のシリンダー管

シームレス管に関するよくある質問(Q&A)

Q. シームレス管とは何ですか?

繋ぎ目のない管のことだ。また、ORGAのシリンダー管は、内引抜管として国内の業者が製造している。

Q. 管の外径はどれくらいですか?

従来どおりのΦ25.4mmだ。そのため、外径を変えずに、肉厚だけを薄くして内径を広げている。

Q. 素材は何ですか?

SUS304 TPSCシームレスコールド冷間引抜きという呼び名の素材だ。また、ステンレスの管である。

Q. なぜ磁石に着くのですか?

焼入れの工程を省いているためだ。そのため、通常のステンレスと違い、ごくわずかに磁石に着く。

Q. なぜ焼入れを省いたのですか?

焼入れをすると、管の強度と設計公差に変化が生じるためだ。そのため、この工程を省いている。

Q. なぜ肉厚を薄くしたのですか?

シリンダー内部の容積を増やすためだ。そのため、外径はそのままにして、内径だけを広げている。

Q. 肉厚が薄いと何が問題ですか?

管の強度が下がり、歪みが出やすくなる。そのため、トレポンの利用時に、気密が取れなくなる恐れがある。

Q. どんな業者が作っていますか?

原発向けのシームレス管を製造する業者だ。また、日本に2社しかない業者の1社に、依頼している。

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